(金魚問答 三好音次郎 著 明治36年5月発刊)
明治36年5月出版の金魚問答は大阪らんちゅうを知るには貴重な文献になります
菊寿堂義信翁(きくじゅどうよしのぶおきな)の天保年間から明治初期にかけて、大阪らんちゅう全盛期から明治中期になり大阪らんちゅうの一大ブームが去ってもう一度大阪らんちゅうのブームを起こそうとした大阪船場の金魚問屋の大鮫梅太郎氏(おおざめうめたろう)が書き、事業家でもある三好音二郎氏(みよしおとじろう)によってまとめられたものが金魚問答になります
金魚問屋と事業家の共著になりますので、おそらく商売のためにかかれているために絵もデフォルメされています
表紙に大阪らんちゅうの本国錦ほんごくにしき(画像の下)と楊貴妃ようきひ(画像の上)が生き生きと描かれています
大阪らんちゅうのブームの再来を狙ったとかんがえられる金魚問答はどのようなことがかかれているのでしょうか
今から120年前に書かれた金魚の参考書について研究したことをお伝えさせていただきます
大阪らんちゅうの研究その1【現代から見た金魚問答の事実と疑問】
金魚問答の原文
シシガシラにして丸金丸尾という金魚 胴が2寸あるとすれば、胴幅を1寸3分以上のものとする合格とする
顔は角ばったものをシシガシラと呼び、昔は獅子舞の顔に似ているからシシガシラと呼んでいた
昔は肉瘤をシシガシラと呼んだものではなく、顔が角頭(かくとう)のものをことをいっていました
大阪らんちゅうなどの原始らんちゅうは肉瘤を鑑賞する金魚ではなかっため、肉瘤が発達が未熟でもあります
又、大阪らんちゅうの形については丸金、丸尾で胴が太いものを合格としていました
自然界では自然淘汰(しぜんとうた)で自然界と適合するものが残りますが、金魚の世界では人の好みで淘汰されていきます
そして、理想とする金魚を人間の手で作り上げています
例えば、出雲ナンキンは顔が細く、体が細長いものを残していき現在の形になっています
「大阪らんちゅうの理想の体のバランスについて」
大阪らんちゅうは長さと幅の関係はおよそ100対65以上のもので、体格は鶏卵より太くないといけないとしていました
「大阪らんちゅうの丸金」
筒が丸くて、上皿(うわざら)に鱗がたくさんついているものを丸金とよんでいました
(大阪らんちゅうは丸金を重視したために、早い段階で大阪らんちゅうはサシを嫌った)
「大阪らんちゅうの丸尾」
丸尾とは尾びれが丸くて大きいもので、大阪らんちゅうの特徴の一つでもあります
現代から見た金魚問答の事実と疑問
(目次)
- 大阪らんちゅうの研究【特徴】現代から見た金魚問答の事実と疑問その1
- 大阪らんちゅうの研究【選別】現代から見た金魚問答の事実と疑問その2
- 大阪らんちゅうの研究【らんちゅうの種類】現代から見た金魚問答の事実と疑問その3
参考文献
金魚問答 三好音次郎 著 明治36年5月発刊
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